掲示板やブログへの書き込みは著作物なの?

kakikomi

現在、サイトの閲覧者が匿名やハンドルネームで飲食店や企業の評判・感想等についてさまざまな書き込みをすることができる掲示板やブログが多く存在しています。

 

これらの掲示板やブログへのさまざまな書き込み・・・

 

これをサイトの運営者やブログの作成者は自由に利用することはできるのでしょうか??

 

今回は書き込みの著作物性について見ていきたいと思います。

 

1 書き込みの著作物性について

 

「書き込みが著作物である」ということになると、原則として投稿者の承諾がない限りその書き込みを自由に利用することはできません。サイトの運営者やブログの作成者であってもです。

 

それでは書き込みは著作物といえるのでしょうか??

 

著作権法は「著作物」を創作する著作者の権利を守る法律です。

 

著作物とは

 (1)思想又は感情

 (2)創作的

 (3)表現したものであって

 (4)文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。

この4つの要件を満たす場合に「著作物」であると認められるのです。

したがって,各要件を満たす書き込みは「著作物」ということになります。

 

それでは書き込みはこれらの要件を満たすものといえるのでしょうか?

 

ケースバイケースと言わざるを得ないところもありますが・・・

 

ただ、書き込みが著作物といえるかどうか判断する際には(2)の「創作的に」との要件を満たすかどうかかよく問題となります。

 

ごくごくありふれた書き込みについてまで著作権法で保護する必要がないからです。

 

この点に関しウェブサイト上の掲示板への書き込み文について以下のように判断し著作物性を認めた裁判例があります。

 

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「著作物性が認められるための創作性の要件は厳格に解釈すべきではなく,むしろ,表現者の個性が何らかの形で発揮されていれば足りるという程度に,緩やかに解釈し,具体的な著作物性の判断に当たっては,決まり文句による時候のあいさつなど,創作性がないことが明らかである場合を除いては,著作物性を認める方向で判断するのが相当である。」

(東京高判平14.10.29裁判所ウェブサイト)。

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この裁判例を前提とすると、客観的に見て著作者の個性が表れていないことが明らかな場合を除いて広く創作性を認めるべきであると考えられているということができます。

 

そうすると掲示板等への書き込みについても投稿者の個性が発揮されていれば著作物であると判断される可能性が高いということができます。

 

2 書き込みを利用するためには!?

書き込みが著作物であるということになると・・・

 

投稿者の承諾なく勝手に書き込みを利用してしまうと著作権侵害ということになってしまいます。

 

そうするともしサイトの運営者やブログの作成者が書き込みを自由に利用したい場合、投稿者の全員との間で「投稿した書き込みの著作権はサイトの運営者に譲渡する」ということを契約書などで約束しておくことが重要ということになります。

 

しかし、ウェブサイト上ではそう簡単にはいきません。

 

書き込みは通常匿名やハンドルネームで行われることから、投稿者を特定しその投稿者と契約を締結することは困難と言わざるを得ないからです。

 

そこで、サイト内に利用規約を設けて投稿された書き込みについての著作権はサイト運営者等に譲渡する旨を規定しておくことが重要となります。

 

ただ、ここでひとつ注意点が・・・

 

それは著作権を譲渡したとしても著作者人格権を譲渡することはできないということです。

 

どういうことかといいますと著作者がもつ著作者人格権の中には

 

・自分の著作物を公表するときに氏名を表示するかしないか,実名か変名かを決めることができる権利(これを「氏名表示権」といいます(著作権法19条))

・自分の著作物の内容を自分の意に反して勝手に変更,切除その他の改変を受けない権利(これを「同一性保持権」といいます(著作権法20条))

 

といった権利があるのですが・・・

 

この著作成者人格権は、著作者だけが持っている権利で譲渡したり相続したりすることができない!とされているということです(著作権法59条)。

 

したがって利用規約などで著作権を譲り受けることを約束したとしてもこの著作成者人格権だけは投稿者に残ってしまうことになります。

 

そのため投稿者が氏名表示権や同一性保持権を主張して書き込みの利用や改定を妨げる恐れがあります。

 

これではサイト運営者による書き込みの利用が制約されてしまうことにもなりかねません。

 

そこで,投稿者からの制約を受けたくないのなら、「投稿者は著作者人格権を行使しない」という特約を定めておくべきでしょう!

【執筆者】 弁護士  小鷹龍哉

※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。


2014年10月16日 10:00,

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