ハイパーリンク、ディープリンク、フレームリンク…リンクが著作権法に違反にすることってあるの?

参照したいウェブサイトにジャンプする「リンク」は、ホームページやブログ、おまとめサイトなど、私たちが日常的に目にするものです。

 

「リンク」には、リンク先のアドレスを表示するものから、リンク元のサイトでリンク先をのぞけるようにするものまで、様々なバリエーションがありますが、リンク先の文章や画像が著作物にあたるとき、これを参照する「リンク」が著作権法に違反することはないのでしょうか?

 

今回は、リンクと著作権法違反について考えてみましょう!

1.一般的なリンク

リンクには、リンク元の画面上に、

●リンク先のアドレス(URL)を表示するもの、

●リンク先と関係する特定のワードを表示するもの(ハイパーリンク)

などがあります。

 

たとえば、ハイパーリンクとは、次のようなものです。

 

(※リンク元のウェブページ上にある下記のようなリンク)

IT著作権(GVA法律事務所)

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このリンクは、URLや特定のワードを表示しているだけであり、リンク先の著作物を複製(コピー)したり、変更を加えたりするものではありません。したがって、著作権法に違反するものではないと考えられます

2.ディープリンク

ディープリンクとは、リンク先のトップページ以外のリンクにジャンプするリンクのことです。

 

IT著作権(GVA法律事務所)

        クリック

   ↓ Jump

[リンク先(トップページ以外のページ)]

 

 

このリンクの場合、リンクによってリンク先をおとずれた人は、ジャンプするページより前のページを見ない可能性が高く、リンク先のウェブサイトは、その管理者の予定していない見られ方をすることになるという問題点が指摘されています。

 

著作権法では、著作物に対して、創作した人(著作者)の意図していないような変更を加えることは原則禁止(同一性保持権:著作権法20条)されており、また、著作者には、その氏名を表示する(または表示しない)権利が認められています(氏名表示権:著作権法19条)

 

これらの権利は、いずれも著作者人格権といわれる権利です。

 

さらに、著作者の名誉や声望を害するような方法で、著作物を利用すると、著作者人格権を侵害するものとみなされます(著作権法113条6項)

 

「管理者の予定していない(意図していない)見られ方をする」という点等で、ディープリンクが同一性保持権侵害に当たる場合があるとの指摘もあります。

 

もっとも、ディープリンクはリンク先の著作物を複製(コピー)したり、変更したりするものではないため著作権法上は、問題がないと考えられます。

3.フレームリンク

フレームリンクとは、ンク先の情報を参照して、リンク元のフレーム内に、リンク先の情報を表示するリンクです。いいかえれば、リンク元のサイト上で、リンク先の情報を「覗ける」ようにしたリンクといえます。

 

(※リンク元のウェブページ内にリンク先が表示されています)

 このリンクは、一見、リンク先の文章等を複製(コピー)しているように見えますが、実際は、リンク先を「参照」して表示しているだけで、著作物をコピー(複製)等するものではありません。

そのため、著作物の複製権侵害については問題にならないと考えられます。

 

フレームリンクの場合、リンク元のURLが表示された状態で、リンク先の文章等をみることができるため、リンク元のウェブサイトを見た人には、リンク先の文章が、あたかもリンク元の文章であるかのように見えてしまう可能性がありますが、上記の著作者人格権の侵害は問題とならないのでしょうか?

 

経済産業省の資料によれば、

●リンク先の著作物を、あたかもリンク元の著作物であるかのように表示させている場合

●リンクの態様が、著作者の名誉声望を侵害するようなものである場合

には、著作者人格権の侵害となる可能性があると指摘されています。

(「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」 平成24年11月)

 

したがって、フレームリンクの態様には注意が必要と考えられます。

4.まとめ

以上、みてきたように、リンクそのものについては、著作権法の違反となる可能性は低いと考えられます。

 

もっとも、フレームリンクについては、リンク先を「覗けてしまう」特殊な形式であるため、利用方法には注意が必要です。

 

また、リンクをはる際、リンク先の記事を、一部コピーして記載したり、要約して記載したりする場合、「引用」という著作権法のルールに従わないと、著作権法に違反する可能性があります。

 

さらに、著作権侵害が行われているウェブサイトにリンクをはることも、その著作権侵害を助長するような場合について、著作権侵害の問題を指摘する見解もあります。

 

これらの点にもご注意ください。

【執筆者】 弁護士  小鷹龍哉

※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。

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