街で撮った建物の写真をウェブ上で公開してもOKか?

syashinok

1 はじめに

カメラ付き携帯電話の普及により、 ほぼ全ての人が、いつでも気軽に写真を撮ることができるようになりました。

 

目の前にある綺麗なモノや景色を撮影し、すぐにFacebook や twitterなどのウェブに公開して、友人と共有している人も、たくさんいるのではないでしょうか。

中でも古い民家や不思議な形の建物など、建築物の写真を撮る方は多いようです。

では、建築物の写真を撮ってウェブ上で公開することに問題はないのでしょうか。

今回はこの問題について考えていきましょう。

2 著作権法について

 

(1)建物は著作権法で保護されるのか?

著作権法は、「著作物」を創作する著作者の権利を守る法律です。

 

したがって、建物が「著作物」といえるのであれば、その建物を創作した著作者の権利が保護されることになります。

 

では、建物=「著作物」なのでしょうか?

これは、一概にはいえません。

つまり、「著作物」といえる建物もあれば、そうでない建物もあるのです。

 

簡単に説明しますと、

著作物とは、

      (1)思想又は感情

      (2)創作的

      (3)表現したものであって

      (4)文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの  をさします。

 

 この4つの要件を満たす場合に、「著作物」であることが認められるのです。

 

したがって、各要件を満たす建物は「著作物」となりますが、そうでなはない建物は「著作物」とはならないのです。

 

 

(2)建物=「著作物」と認められない場合

建物が「著作物」でない以上、建物の設計者は「著作者」には該当しません。

ですので、著作権法上の問題は特に生じません。(ただし、下記の「3 その他の問題点」にも十分に注意してください)

 

(3)建物=「著作物」と認められる場合

建物が「著作物」であると認められる場合、その建物の設計者が「著作者」となることが多いでしょう。

 

この場合に、建物の写真をウェブ上で公開することには、どのような問題があるのでしょうか。

 

ア 建物以外の場合

ここで、いったん建物以外の「著作物」を写真に撮り、ウェブに公開する場合について検討したいと思います。

 

ある著作物を写真に撮る行為は、「複製」と呼ばれる行為です。

個人的な目的や家庭内で用いる目的等であれば、複製をすることは自由ですが、それ以外の目的で複製をする場合には、著作者の許可が必要です(著作権法30条)。

 

また、無断で写真をウェブ上で公開することは、公衆送信権(著作権法23条)を侵害することとなります。

 

つまり、無断で、ある著作物を写真に撮り、ウェブ上に公開する場合は、著作者の複製権や公衆送信権という権利を侵害してしまうおそれがあるのです。

 

イ 建物の場合

話を「著作物」である建物の場合に戻しましょう。

 

「著作物」である建物を、無断で撮影しウェブで公開すると、その他の著作物と同じように、複製権や公衆送信権を侵害してしまうのでしょうか。

 

ここで、著作権法46条をみてみましょう。

著作権法46条は、

「建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」と規定しています。

 

つまり、一定の例外はありますが原則として建築の著作物は、自由に利用することができるのです。

 そして、写真を撮ったり、ウェブ上に公開する行為は、著作権法46条の例外規定には該当しません。

 

したがって、建物の写真を撮り、ウェブ上に公開することは原則として自由に行えるのです。

3 その他の問題点

以上のとおり、建物の写真を撮りウェブ上で公開することは、著作権法上の問題には、原則としてなりません。

 

もっとも、その写真に偶然写ってしまった人や車のナンバーなどは、肖像権やプライバシー権といった別の権利となる可能性がありますので、その点にも十分に注意して、写真を利用してください。

【執筆者】 弁護士  小鷹龍哉

※本記事はIT著作権.comからの転載記事です。


2014年9月18日 10:00,

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